第6回 出発

いよいよ出発日を迎えた。
5日ほど前から沙羅は毎日「父ちゃんおらんなるなぁ」と言うようになって
寂しさを言葉に出し始めた。
泣き虫家族なもんで、泣き泣き家を出発するのもいやなんで、なるべく普段どおりに接し元気に笑顔で出発したいと思っていた。
朝7:20分、タクシーが迎えに来ていよいよ出発の時。
いつもどおりに「沙羅、父ちゃん行ってくらぁ」と言うと、いつものように「いってらしゃい」と元気な声が返ってきた。
よし!涙なしで行くぞと思いきや、涙を目にためて必死にこらえる我が娘の顔を見るとやっぱり涙がにじんできた。ぐっと我慢。父ちゃん元気に行ってくるぞ!
玄関を出て「3年間お勤めしてくるよ」とか冗談を言いつつ、タクシーに乗り込み、かぁちゃんに「体に気をつけてがんばるけぇ」と言い最後のタッチ。
ドアが閉まってホントに出発。
振り返って窓越しに見たかぁちゃん、さっきまで気丈に振舞っていたけれど、最後の最後は必死で涙をこらえた顔だった。こっちも必死にこらえたよ。
“さよなら”じゃない出発なのに、3年間と言えども時々帰って顔を会わせるとわかっていても別れはホントに寂しい。ホントに寂しすぎるぜ。心で号泣…。